紛争の内容
裁判所から、破産の申立てをした債務者について、破産による免責をしても良いかを調査するように依頼され、破産管財人に選任されました。

破産の申立書には、パチンコ、及び、交際相手にお金を渡す等のために、次々に借金を重ねたという事情が記載されていました。

交渉・調停・訴訟等の経過
債務者と面談をしたところ、パチンコや自動車の改造費用のためにカードローンを使用し、限度額に達した後は、別のカードでショッピングを始めたということでした。

そして、その後、知り合った交際相手にお金を渡すようになり、さらに別のカードを利用するようになったが、月々の返済を自力で行うことが困難になったという事情が明らかとなりました。

他方、新しいカードの利用を始めるときには、返済が更に困難になるという認識が債務者にはあったようですが、親族の力を借りて何とか返済を続けていたという事情があり、カード使用時において債務者には返済を続ける意思があったため、債権者を騙してカードの使用を行ったとまでは言えませんでした。

また、毎月家計簿を提出してもらいましたが、債務者は、公共料金の支払い等を遅滞することなく、借金をせずに生活をすることができるようになりました。

本事例の結末
以上の事情に照らし、債務者については、破産法第252条1項4号の浪費等の免責不許可事由が存在しましたが、公共料金の支払い等を遅滞することなく、借金をせずに生活をすることができるようになり、負債を再び作る可能性が一定程度減少しておりましたので、債務者の経済的な再出発のために、破産法252条2項に基づく裁量免責を認めることが相当である旨の意見を裁判所に提出しました。

そして、裁判所は、債務者の破産による免責を許可しました。

本事例に学ぶこと
負債ができた原因が、ギャンブルや無駄遣いであるという場合、破産による免責を認めて良いかについては、慎重に検討する必要があります。

もっとも、負債の金額、負債形成時における債権者を騙す意図の有無、及び、現在の生活状況等に鑑みて、破産法252条2項による裁量免責を認める場合があります。

今回の案件はそのような案件でしたので、破産管財人として免責を認める意見を提出し、裁判所も免責を許可しました。

弁護士 村本 拓哉