事案の内容
破産者の方は、かつて空調設備関係の工事をおこなっていた会社の代表取締役でした。
ところが、従業員の流出や競合他社との競争などにより、徐々に売り上げが減ってしまいました。
会社は徐々に規模を縮小し、約10年前に最後の従業員が退職してからは、事実上営業はおこなわれておらず、破産者自身も別の企業で従業員として働いていました。
もっとも、会社の債務の連帯保証をしていたこともあり、約2000万円の負債を抱えていました。
管財業務の経過
本件では、会社の事情とあわせて、個人についての財産状況の確認や、負債増大の事情などについて、破産者の方および申立代理人と面談し、聞き取りをおこないました。
破産者には、破産法に定める免責不許可事由は見当たらなかったものの、転送郵便物などから、財産の有無の調査をおこないました。
本事例の結末
本件管財業務での調査の結果、債権者への配当をするだけの財団を形成することはできませんでしたので、異時廃止が相当である旨の意見を出しました。
また、免責不許可事由も存在しない旨の意見も出しました。
最終的に、裁判所も免責許可の決定を出しました。
本事例に学ぶこと
本件は、管財業務のなかでも特段の財産が見当たらなかったため、異時廃止となり、免責が許可された事例でした。
弁護士 赤木 誠治