紛争の内容
ご依頼者様は、法人の代表者でしたが、法人の業績が悪化し、法人について破産申立を行うこととなりました。
ご本人は、法人の代表者として法人の債務を連帯保証していましたので、ご本人個人についても自己破産申立を行うこととなりました。
交渉・調停・訴訟等の経過
ご本人は不動産(マンションの持分)を所有していましたので、その処理が問題となりました。
これについては、当方で不動産の査定を取り、それに基づいて持分価格を算定し、それをご本人の財産として破産申立を行いました。
この不動産については、破産管財人・裁判所と協議し、ご本人の親族の方が買い取ってくださるということになりましたので、破産管財人や司法書士と調整し、不動産の売買契約を締結することとなりました。
また、ご本人が破産申立前に交通事故に遭われ、その処理も問題となりました。
これについては、交通事故に基づく損害賠償請求権が破産者の財産となりますので、その旨を付して裁判所に破産申立を行い、破産管財人に相手保険会社との交渉を委ねました。
本事例の結末
ご本人の不動産については、無事、親族との売買契約が成立し、売却という形で処分をすることができました。
交通事故については、破産管財人が相手保険会社との交渉を行い、主に金額と話となりましたが、破産手続中には折り合いが付かず、最終的に損害賠償請求権を放棄するということで処理がなされました。
このように、処理すべき問題について、無事適切な形で処理がなされたため、法人についても破産申立が認められ、ご本人についても破産及び免責が認められました。
本事例に学ぶこと
破産者の方が不動産を所有されている場合、その処理が問題となります。
破産者側で売却等の目途が立てば、破産管財人や裁判所と協議し、その方針で進めることになります。
破産者側で処理の目途がつかなければ、破産管財人が主導して売却等の処分をしていくことになります。
また、破産手続中に破産者の方が交通事故に遭った場合、その事故に基づく損害賠償請求権の処理が問題となります。
破産申立前であれば、破産者代理人が損害額を計算し、相手保険会社等と交渉することが考えられます。
破産申立以降であれば、基本的には、破産管財人が相手方との交渉等を行うこととなりますが、破産者申立人もご本人と調整する等の業務を行うことも必要になります。
弁護士 権田 健一郎