紛争の内容
裁判所から指示を受け、破産管財人として破産管財業務にあたりました。
破産申立人の方は生活保護を受給しており、債権者は8社で、残債務額は約250万円でした。
借入の主な原因は生活費や借入の返済であり、最も大きな原因がラジコンの購入でした。
裁判所からは、生活保護受給中の借入やラジコン購入のための借入について、免責不許可事由にあたるかどうかを検討するよう特に指摘がありました。
交渉・調停・訴訟等の経過
管財人面談において、借入の具体的な事情を聴き取りました。
仕事のストレスなどから月に3~4万円ほどをラジコン購入につぎ込んでしまったこと、生活保護受給中も生活保護の金額を自分の収入額として申告して借入を受けたことがわかりました。
生活保護受給中に生活保護の金額を収入として申告し借入をすることは免責不許可事由である詐術による信用取引にあたると判断しました。
また、ラジコン購入については、生活保護受給者であることや収入に比べて購入金額が大きかったことなどから、免責不許可事由である浪費による過大な債務の負担にあたると判断しました。
もっとも、破産者の方は、破産管財人の指示に対しては速やかに資料を提出したり、回答したりして、真摯に対応をしており、今回のことについても深い反省を示していたため、免責不許可事由はあるが裁量免責が相当であるという意見を裁判所に提出しました。
本事例の結末
これを受けて、債権者集会期日が開かれ、裁判所からは、こちらの意見のとおり、免責許可決定が出されました。
本事例に学ぶこと
ギャンブルのみならず、嗜好品の購入は、その購入頻度や金額等によっては、免責不許可事由である浪費による過大な債務の負担にあたり得ます。そのため、破産管財人としては、購入の経緯や購入金額等を破産者から詳細に聴き取り、免責不許可事由に当たるかどうかを慎重に検討する必要があります。
また、収入などを偽って借入を受けることも同様に、免責不許可事由である詐術による信用取引にあたり得ますので、その経緯については、詳細な聴き取りと慎重な検討が必要です。
もっもと、そのような事情がある場合でも、裁量免責の可能性もあるため、破産管財人としては、破産者の態度や対応、債務整理歴の有無などを考慮し、裁量免責の有無を検討する必要があります。
弁護士 権田 健一郎