紛争の内容
アルバイトで生計を立てていた40代男性のAさんは、7年前に借金を返しきれなくなり、自己破産をしていました。

その後、何とか借金をせずに数年過ごしていたものの、仕事のトラブルが続きストレスがたまったことをきっかけに、体調を崩してしまい、仕事量を減らさざるを得ない状態になりました。

仕事量を減らせば当然収入は減り、収入が減ることによって生活費が賄えなくなり、それがストレスになり…という負のスパイラルにより、ついにまた借金をするようになってしまいました。

生活費の不足分だけでなく、ストレス解消のために自分の趣味のフィギュアなどを買うようになってしまった結果、毎月のカード払いも支障が出るようになり、支払についてはリボ払いにするようになりました。

リボ払いで当座の返済はできると思っていたAさんですが、実際にはリボの返済分以上にカードを使うようになってしまっていたため、赤字は膨らみ、遂に200万円近い借金総額になってしまいました。

体調が悪く、仕事も増やせない中で、アルバイトの収入で返済するのは無理だと感じたAさんは、前の破産から7年が経つかたたないかという段階で弁護士に相談し、2度目の破産をすることにしたのです。

交渉・調停・訴訟等の経過
管財人としての業務としては、Aさんに免責不許可事由がないか、また経済的更生の可能性があるか、という点をチェックすることでした。

Aさんがリボ払いまで利用して借金を増やしていた状況から、収支を考えない浪費をしていたことは疑いようがありませんでしたが、1回目の破産後、実家で両親と暮らすようになり、ライフライン等の費用は親の援助を受けられていたことや、自己破産の依頼をした弁護士に毎月家計簿を提出し、破産準備に入ってからは毎月の収入だけでやりくりできるようになっていたこと、自分の体調や心の状態をよく見極め、必要に応じて病院や家族に頼るなどの生活ができるようになっていたことから、そのような経緯を管財人に示すことができました。

本事例の結末
以上のAさんの態度などを踏まえ、2度目の破産であり、しかも前回の破産免責から丁度7年が経過したばかりの事案ではありましたが、裁量免責を認めることとなりました。

本事例に学ぶこと
2度目の破産は、基本的には1度目の破産よりも相当に厳しく見られる傾向にあり、管財人が就くことはもちろん、免責不許可事由の有無や裁量免責の可否を相当吟味されることになります。

ただ、再度の多重債務に至った経緯や、その後の反省、実際の生活の状況によって、2度目の破産、そして2度の免責ということも可能な場合があると感じました。

弁護士 相川 一ゑ