事案の内容
さいたま地方裁判所から、個人の方の破産事件で、破産管財人の選任が必要であるため依頼があり、破産管財人に就任しました。
破産者は、公務員として、いわば安定的に収入を得ていました。
しかし、投資運用を失敗し、多額の負債を抱えることとなり、失敗を取り返すために投機的取引に手を出した結果、損失も増え、生活費を賄うため、クレジットカードを中心に借り入れを増やしてしまったため、破産手続を選択された方でした。
手続などの経過
早速、破産者個人の方や破産管財人弁護士の方と連絡を取り、面談を実施することになりました。
面談では、様々な事情を聞き取り、財産が報告されているもので漏れがないか、債権者に漏れがないか、家計状況からして破産したら生活を再建できるか、免責不許可事由にあるような行為があるか、あるとすればなぜそのような行為に及んだのか、という事情を詳細に聞き取りました。
なお、破産管財人の立場として、必ず、「自分に不利になると思っても、絶対に嘘はつかないように」というお願いをします。これは法律上も求められている義務ですが、今一度、念を押すようにしております。
その後、転送郵便物のチェックなども行い、債権者集会を迎えることになりました。
本事例の結末
結論としては、破産手続としては、とくに換価すべき財産もありませんでしたので、異時廃止という形で終結しました。手元にある少額の財産は、自由財産拡張の決定がなされ、手元に残しておくことができました。
免責調査については、管財人としては、破産者は免責不許可事由に当たるけれども、裁量により免責するのが相当であるという意見を述べ、その後、正式に免責許可決定が出されることになりました。
本事例に学ぶこと
破産者の方には、誠実にあっていただくことが何よりも重要だと思います。
破産者の方は、犯罪を犯したわけでもございませんし、経済的な失敗はやり直しがききます。
破産管財人として、あえて厳しい意見を述べるべきケースというのもありますが、破産者や破産手続代理人が真摯かつ誠実に対応していただけることは、裁量免責をする上で不可欠であると思います。
破産についてご検討の方は、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所まで、お気軽にお問合せください。
弁護士 時田 剛志