紛争の内容
依頼者は数年前までは飲食店を独立開業し個人事業主として働いていました。
しかし、同飲食店は近隣に大型店舗が新しくできたこともあり売上が低迷し、事業資金としての借入ればかりが増えるようになりました。
その後廃業し、現在は会社員として勤務していますが、債務を完済できるほどの収入はなく、債務整理を行うことになりました。
交渉・調停・訴訟などの経過
事業資金のための借入れということもあり、負債額が高額であったため、破産手続を選択しました。
その上で、破産申立てにあたり、家計簿を作ってもらい、特に家計の収支に気をつけていただきました。
その結果、月の収入の範囲内で家計をやりくりし、継続的に余剰を出せるような家計ができるようになりました。
本事例の結末
負債額は高額であり、かつ事業主歴があったため、破産管財人が選任される管財事件として処理されるとも思われましたが、依頼者には目ぼしい財産はなく、また管財予納金(破産管財人に支払う報酬)20万円の捻出も困難であったことから、そのような事情を裁判所に説明し、破産管財人を就けない形での処理を求めたところ、裁判所もこれを了解し、本件は破産管財人を就けることなく手続を進めることができました。
本事例に学ぶこと
負債額が高額であることや事業主歴があることは、いずれも破産管財人選任に傾く事情ですが、本件のように事情によっては選任されない可能性も十分にあります。
ご自身で破産管財人が選任されると自己判断せずに、まずは弁護士に相談してみてください。
弁護士 小野塚直毅