依頼内容

交通事故以前はほとんど負債のない状態であったが、自動車運転中に交通事故を起こしてしまった、任意保険には加入していたが自動車の乗り換えを反映していなかったために任意保険が使えず、多額の損害賠償請求に対応できない、とのご相談でした。
家計収支の状況から到底払いきれる金額ではなかったため、破産手続申立手の代理人として受任しました。

負債状況

4000万円程度

資産状況

15年落ちの中古軽自動車を含め、めぼしい財産なし

方針・事件処理の結果

負債の原因である交通事故による損害賠償請求権が非免責債権に該当する可能性があるかを検討するため交通事故の状況を確認しました。
幹線道路に右折で合流しようとしたところ、右方向から走行してきたバイクと衝突したという交通事故でしたが、バイクは中央線側から車両を追い越して走行してきたということでしたので、双方の過失の程度から非免責債権に該当する可能性は低いと判断しました。
申立後の破産手続では破産管財人が選任されましたが、免責不許可事由の指摘はありませんでした。
裁判所からも免責許可決定が下され、破産手続としては事件終了となりました。

本事例に学ぶこと

何らかの理由で任意保険が使えない交通事故では数千万円単位の損害賠償請求がなされることがあり得ます。
自身の収入でそれを賄いきれない場合、破産手続申立てを検討することになりますが、飲酒運転や信号無視等により生じた交通事故では当該事故に関する損害賠償請求権は免責の対象にならないというケースがあります。
損害賠償請求権が免責の対象とならない場合、破産手続終了後に債権者から訴訟が起こされれば当該損害賠償請求権に対する支払いを命じられることになりますので、破産・免責手続きが終了すればすべての負債について責任を免れることができるわけではないということには注意が必要です。

弁護士 吉田竜二