紛争の内容
依頼者は、度重なる健康上の問題により収入が減少し、多額の税金の滞納をするに至りました。依頼者は、働きながら、何とか滞納税金の支払を続けてきましたが、新型コロナウイルス感染症流行の折り、風邪症状を発症して、会社から仕事を休むよう指示されたり、仕事に復帰後も体力的に厳しい仕事をするよう指示されたりし、20年以上も勤めていた会社を辞めざるを得なくなってしまいました。その後、依頼者は就職活動を始めましたが、依頼者が高齢者であること、新型コロナウイルス感染症流行により求人が減ってしまったこと、という不運が重なり、安定した職に就くことができませんでした。そこで、もはや借金の返済をする目途が立たなくなり、破産手続を弁護士に依頼するに至りました。
交渉・調停・訴訟などの経過
破産手続の申立てにあたっては多数の書類を用意する必要があります。その中で、依頼者の多くがつまずく点として家計簿の作成があります。
本件依頼者の奥様は非常にしっかりしていて、丁寧に迅速に、家計簿の作成・書類の用意をしていただくことができました。そのため、非常にスムーズに、裁判所への破産手続申立てを行うことができました。
本事例の結末
依頼者夫婦が申立てにあたっての準備にあたってきちんと協力していただいたおかげで、裁判所からほとんど追完を求められることもなく、破産手続開始決定・同時廃止決定・免責決定を得ることができました。
本事例に学ぶこと
破産手続きを行うにあたっては、弁護士に依頼しさえすれば、後は任せておけば良いというものではありません。依頼者自身の協力が不可欠となります。さらには破産手続開始原因となる「支払不能」の要件が認められるためには、依頼者個人だけではなく、依頼者の家計が適切に把握される必要があります。そのため、破産手続申立ての準備にあたっては、依頼者だけでなく、家族の協力(情報提供という意味での協力)が必要となります。
本件では、依頼者の奥様の尽力があって、非常にスムーズに手続を進めていくことができました。
破産だけでなく、民事再生手続を行う場合にも家族の協力が必要なのは同様です。破産・免責というゴールを確実にするためにも、必ず家族に相談し、納得の上で、弁護士にご依頼いただきたくお願いしています。