紛争の内容
Aさん夫婦は共働きで、6年程前に念願の一戸建てを購入しました(住宅ローンは夫の名義)。
最初は順調に住宅ローンを支払っていたのですが、保険や税金など住宅を維持するために想像以上のお金がかかるのと、夫が体調を崩して収入が減ったため、ローンの支払い・生活費を賄うためにAさんもカードで借入をしたり、食品などの日用品をショッピングで買うようになりました。
気付けば、Aさん名義の借金は400万円近くに膨らんでおり、借りては返すの悪循環に陥ってしまいました。
交渉・調停・訴訟などの経過
ご夫婦で相談にいらっしゃったAさん。
住宅はどうしても維持したいとの希望があり、また、夫の体調も何とか回復して以前のようにフルで働けるようになってきたので、Aさんは破産を、夫は住宅ローン特則を利用した個人再生をすることになりました。
Aさんは、夫婦2人の債務整理のため毎月厳しい家計管理をし、弁護士に指導された余剰金額(夫の再生手続において求められる弁済原資)を出していきました。
一方、Aさん自身には目ぼしい財産はほとんどなく、また、ギャンブルなどの免責不許可事由もなかったため、裁判所への破産申立後、一番簡単な同時廃止の手続きで進めてもらうことができました。
本事例の結末
Aさんは無事破産・免責され、全ての借金がゼロ円となりました。
本事例に学ぶこと
Aさん自身にもそれなりの定期収入がありましたので、Aさん単独であれば、個人再生をするという選択肢もあったかもしれません。
しかし、本件はご夫婦揃っての債務整理であり、住宅を維持するために夫が個人再生に挑戦するという局面では、夫の再生手続に注力するため、Aさんは破産を選択しました。