交渉・調停・訴訟などの経過

管財人選任、債務者宛の債権回収行為、第1回報告集会における放棄許可、コロナ禍における特徴的事件(申立て後の、公的貸付制度の利用の当否)

本事例の結末

1 債務名義を有する財団所属債権の回収

 ①所在調査については、4月27日付の住民票異動の有無調査
②請求書発送、発送地の所在不動産の調査(債務者名義の不動産はないことが判明)
③その他の回収可能性調査を検討中のところ、申立代理人が本申立て前に預貯金調査を行っており、めぼしい差押財産がないことの報告を受ける。
④ 転送郵便物によって判明した財際については、相応(対当)額の財団組入れと共に、財団から放棄許可申請。

2 詐術による信用取引の可能性

 破産申立依頼、同申立て後の借入のため、破産者には、支払不能の認識あり、生活保障のために、公的融資10万円借り入れた。
 申入れ時の誓約書には、破産申し立てなどの債務整理手続き中であることの照会はないこと、その他の申告事項に虚偽はないことから、「積極的な詐術」はないとして、同免責不許可にあたらないと意見(免責不許可事由なしと意見した)。

本事例に学ぶこと

債務名義債権を有していても、回収困難、不可能の場合、その顛末を報告することにより、管財人業務に協力することは、依頼者の免責許可の獲得に資する。無用な手続きの長期化も回避できる。
債務者依頼者が、本生活困窮化において、代理人に相談なく、公的融資を受けることは回避しなければならない。他県のホームページには、その旨の注意書き(Q&A)がある。