紛争の内容
1 埼玉県内に、娘婿との住宅購入のローン負担(主債務・連帯保証債務あり)をした正社員勤務先を退職後も、パート勤務するベテラン従業員。
2 娘婿家族が、介護のため、転居。
3 破産者のみでは住宅ローン負担叶わず、不動産任意売却。ローン残る。
4 娘婿、大阪地裁に手破産申し立て先行。
5 遅れて、同じ申立依頼。
6 受任司法書士、預金200万円について、債権差押の危険ありとして、払戻をアドバイス。
7 破産申立て、管財人選任。
交渉・調停・訴訟などの経過
1 払戻現金の使途説明。
2 支払停止後、債権回収会社から返済を請われ、50万円を支払うと説明。その他は家計その他に費消。
3 債権回収会社の履歴を取り寄せ報告を受けると、上記の事実はなかった。その点を指摘すると、タンス預金30万円を申告する。
4 責任財産の隠匿の行為と認められるとして、手許現金全額(97万円)の管財人への引継ぎを求める。
5 さいたま地裁方式の自由財産拡張申立てを指示。
6 裁判所と協議し、「タンス預金」30万円は財団組入れ、選任後発覚した出資金については、財団組入れ後、放棄。
7 財産隠匿として、免責不許可事由に該当する旨、破産者・司法書士に説明。了解を得、裁量免責のために、財産組入れを了承してもらう。
8 その他の費消を再確認し、相当性の具備ないし不相当性の欠如を認め、問題視しない。
9 裁量免責相当の意見
本事例の結末
1 財団組入れは報酬として認められる。
2 裁量免責
本事例に学ぶこと
1 申立て前の預金現金は、99万円以下の現金は、本来的自由財産であることから、その主張を貫徹された場合、97万円の(引継ぎ)現金は自由財産と認めなければならないが、その他の預金、出資金の換金ないし財団組入れなど手続きが煩雑になるところ、破産者側と協議の上、「タンス預金」分の組入れなどで、円滑処理が可能となった。
2 預金の払い戻しによる現金化をアドバイスする場合、強制執行不正免脱行為にならないよう、細心の注意が必要。多額の払戻現金は、申立代理人が預かり保管すべき。