紛争の内容

 ご相談者は,借金の大部分を投資詐欺に投入しており,消費者金融等に返済ができなくなったため,当事務所に相談されました。

交渉・調停・訴訟などの経過

 当初は,破産法上の「免責不許可事由」である「浪費又は賭博その他の射幸行為」に当たると思われました。また,ご相談者には固定収入もあり,配偶者の収入も相まって,借金の一部を返す手続である小規模個人再生の申立を視野に入れ,まずは弁護士が受任通知を各債権者に発送しました。その間,債権者からの取立はなくなり,ご相談者は一部の債権者にのみ借金を返すことができないため,それまで債権者に支払っていた弁済をストップし,家計を改善させることになります。
 しかし,家計状況について経過観察をした結果,配偶者の収入は月によって変動があり,再生計画を立てるだけの余剰が出ないおそれが高まりました。
 そこで,最終的には破産手続を進めることとしました。

本事例の結末

 投資詐欺の内容について破産を申し立てたところ,裁判所より破産管財人が事実調査等を命じられました。そこで,破産管財人に対する報告を行うなどして,平行して,自由財産拡張(さいたま地方裁判所では,基本的に99万円までの枠内で預金などの財産を保持できることをいいます)を進めました。
 その結果,たった一回の債権者集会が行われ,その日の内には,破産手続が終了し,数日後には免責許可決定を受けることができました。

本事例に学ぶこと

 借入れの経緯について,破産管財人による調査が求められる場合があります。
とはいえ,諦めずに破産手続を進め,破産管財人や裁判所に対して誠実に対応し,説明義務を果たすことが重要であることが確認されました。騙されたとはいえ,投資詐欺については厳格な調査が行われることが多いです。また,詐欺ですから,お金を返すように求める権利がご依頼者にはあると考えられ,場合によっては,破産管財人が訴訟をしてでも回収を検討することになります。