紛争の内容
長年、借りては返して、を繰り返していたため、過払金が存在する可能性がありました。しかし、負債も少なくないので、返しきれなかったため、破産事件として受任しました。
交渉・調停・訴訟などの経過
まず、債権者に受任通知を送り、弁済や取立てをストップしました。また、過払金を回収し、過払金については、管財予納金(裁判所に支払う20万円)や自由財産(さいたまでは、99万円の枠内で財産を保持したまま破産することができることがあります)として確保しました。さらに、破産手続開始前に、依頼者の母が亡くなったため、母の負債も引き継ぐこととなりました。諸事情から、相続放棄をすることはありませんでした。
本事例の結末
自由財産として99万円以下の金額を手元に残しつつ破産し、自分の債務と亡母の債務とをいずれも免責することができました(免責とは、平たく言えば、債務を返さなくてよくなることです)。その結果、取り立てられることもない状態で、生活を再建することができました。
本事例に学ぶこと
破産する場合、裁判所による破産手続開始決定日というのが一つの基準になります。この日までに築いた財産は、破産する場合の換価対象となる一方、この日以後に手に入れた財産は新得財産として自由に使用処分できます。問題は、相続が発生する場合です。相続が発生すると、相続人の財産の相続権もありますが、相続放棄をしない限り、負債も当然に承継することになります。従って、債務整理を行うときは、相続が発生する可能性の有無についても検討しておく必要があります。