紛争の内容
約1100万円の負債がある人物について、破産手続の開始決定がなされ、裁判所から免責の調査を行うように依頼され、破産管財人として免責調査を行いました。

交渉・調停・訴訟等の経過
破産者は、自動車等の購入、ETC代・ガソリン代の支払い、車部品等の購入、衣類・食料品等の購入、及び、携帯電話料金等の支払いのために、自己の給与だけでは返済ができないような過大な負債を負担し、また、借金の返済が困難になっている状況であるにもかかわらず、退職金のうち160万円~170万円を新居の入居費用や家財購入費用に費消し、さらに110万円~120万円を4か月の婚姻生活における生活費として費消していました。

以上の事情に鑑みれば、破産法第252条1項4号に定める、浪費をしたことによって著しく財産を減少させ、また、過大な債務を負担したという免責不許可事由が認められました。

本事例の結末
他方で、3か月分の家計全体の状況を確認したところ、現在においては、貯金ができるような生活を実践し、再び借金をしないような生活を心がけていることが確認できました。

そのため、破産者の経済的な再出発のために、破産法第252条2項に定める裁量免責を認めることが相当であると考え、裁判所にはその旨の意見を提出しました。

裁判所は、免責を許可する旨の決定を出しました。

本事例に学ぶこと
免責調査においては、破産者の負債ができた経緯を、破産者側が作成した破産手続開始を求める申立書を読んで確認し、それでもなお不明な点を破産者との面接で破産者から聞き取り、免責に関する意見の内容を決定する必要があります。

本件では、このような手続きを実践することができました。

弁護士 村本 拓哉