紛争の内容
さいたま地方裁判所からの要請を受け、個人の方の破産管財人に就任し、免責調査等を実施することになりました。
破産申立てをした個人の方は、過去7年以内に、すでに破産手続を申し立て、その後、免責許可決定を受けている方でした。
7年以内の破産は、直ちに「免責不許可事由」に該当することになります。
そのため、債権者数や債権額は少数でしたが、破産管財人が選任され、調査を実施することになりました。
交渉・調停・訴訟等の経過
主な業務は、
①破産者と面談し、事情聴取を行うこと
②破産者宛の郵便物の転送を受け、郵便物を開披して、財産の隠匿等がないかどうかを確認すること
③免責不許可事由の有無、および免責すべきかどうかについて調査し、意見を述べること
などです。
破産者と面談を実施し、厳しい意見を伝えつつ、どうして短期間の間に二度目の破産となったのか事情を確認しました。また、必要な限度で、裏付けとなる資料の提供を受けました。
事情としては、一言でいえば、”人に騙されてお金を借りて用意し、騙し取られてしまった”ということでした。
破産者は、騙されたという側面はあるものの、安易に信用してしまったことを後悔し、反省の態度と協力的な態度を示し、反省文を差し入れるなどしました。
本事例の結末
結論としては、破産者には目ぼしい資産はなく、第一回目の債権者集会において、破産手続は、異時廃止となりました。そして、免責については、免責不許可事由に当たることは明らかであるが、裁量免責が相当であると意見を述べました。
細かい事情を記載することはできませんが、判断する上でのポイントとなったのは、借金の原因に被害性があること、反省を示していることや家計簿の作成・その他必要な協力をしたこと、債権者から異議が述べられていないこと、です。
本事例に学ぶこと
基本的に、過去の破産(厳密には、免責許可)から7年以内の破産は、破産法上、「免責不許可事由」に該当し、免責という効果を受けられないことになります。
ただし、免責不許可事由に該当する場合にも、例外的に、裁量免責を受けられるケースがあります。
今回は、事情を詳しく聴き取り、裏付けなども調査し、例外的に、裁量免責という判断が相当であると考えました。
このように、二度目の破産であっても、免責という効果にたどり着くケースもありますが、とくに7年以内という場合には、相当の事情やご本人の態度・姿勢が重要になります。
弊所は、破産管財人の事件を受ける反面、当然、破産手続の申立てを行うことも多くあります。
2度目の破産の方からの相談もお受けしますので、お悩みの方はお問合せください。
弁護士 時田 剛志