事案の概要
配偶者と共働きで生活をしていたが、配偶者が体調不良により働けなくなり、生活費を補填すべく借入れを開始した、その後も配偶者の体調が回復せず、返済が厳しくなっていったため、ギャンブルで返済原資を増やそうとしたが失敗した、配偶者も体調不良の間にネットゲームの課金を繰り返してしまい、夫婦で返済不能となったため、双方、破産手続の申立てを行ったというケースについて破産管財人に選任されました。

主な管財業務の内容
双方めぼしい財産は存在しなかったため、免責調査が主たる業務となりました。

借入れの経過はやむを得ない部分があるとしても、ギャンブルにより返済原資を得ようとして逆に負債を増大させたことや療養中にゲーム課金を繰り返して負債を増大させたことは射幸行為や浪費により債務を増大させたと評価せざるを得ず、いずれも免責不許可事由に該当するとの判断を行いました。

本事例の結末
破産者らの借入れの経過については免責不許可事由が存在するとしましたが、破産手続準備に入った以降の破産者らは自身の収入の範囲内で生活をしており、配偶者も復職予定であること、債権者から免責に関する意見が寄せられなかったこと等の事情を考慮し、最終的には双方、裁量免責が相当であるとの意見を裁判所に提出しました。
初回の債権者集会において、破産手続は異時廃止となり、免責手続については、集会後、裁判所から免責許可決定が下されました。

本事例に学ぶこと
夫婦のうち負債の存在するどちらか一方が破産手続の申立てを行うということは多くありますが、今回のケースのように双方に負債が存在し、双方が破産手続を申し立てるという場合もあります。

その場合、家計や資料が共通する部分はありますが、免責不許可事由該当性は個別に判断はされますので、それぞれの事情を申立書等において十分に説明することが重要となります。

弁護士 吉田竜二