事案の内容

約4年間ギャンブルを行い、1か月に相当な金額をギャンブルに使い、足りない生活費をローン会社からの借り入れで補填していた人が、ローン会社に対する負債を返済できなくなり、約500万円の負債が返済不能になりました。この方が、破産手続きの申立てを行いましたところ、当事務所の弁護士が、この方の負債を免除してよいのかを調査するために、破産管財人に選任されました。

経過

この方と面談を行い、ひと月にどの程度の金額をギャンブルへ使用したのか、ギャンブルを約4年間続けた理由は何か、カードの限度額がいっぱいになり、借り入れができなくなったのはいつか、いつごろから返済ができなくなりそうだと感じたのか等について聞き取りを行いました。
面談においてこの方は、ひと月に相当な金額をギャンブルに使用したこと、給与をギャンブルに使用したために生活費が足りなくなりローン会社から借り入れを行うようになったこと、約3年でローン会社のカードの限度額がいっぱいになり、クレジットカードで購入した物を売って、現金化する行為を行うようになったことを
認めました。また、返済ができなくなると感じるようになったのは、破産の申し立てをする直前であったと述べました。
他方、現在は借り入れとギャンブルを行わず、会社の給与のみで生活ができていることを家計簿を提出して説明しましたので、反省の事情も認められました。

本事例の結末

この方には、ギャンブルが原因で返済不能の負債が約500万円できたという事情が認められましたので、負債を免除してはいけない理由である免責不許可事由(破産法第252条第1項4号の浪費による免責不許可事由)が存在しました。
しかし、現在は会社の給与だけで生活し、ギャンブルと借り入れをしないで生活できており、経済的な再出発をするために、特別に負債の免除を認めてもよいという裁量免責(破産法第252条第2項)の意見を出しました。

本事例に学ぶこと

浪費による負債が存在する場合、浪費の程度とそのことが原因でできた負債の金額、返済が難しいと思い始めた事情や返済ができないと考えた時期を聞く必要がありますので、今回のケースを担当することによって、これらの作業を実施する方法を学びました。また、以上の検討の結果、浪費による免責不許可事由が認められる場合であっても、裁量免責を認めるのが適切な場合もあり、今回のケースでは、裁量免責が適切であることを検討する方法を学びました。

弁護士 村本拓哉