事案の概要
将来の退職金等で繰上げ返済を行う予定で50代で住宅ローンを組んだがその後リストラの対象となってしまった、住宅の任意売却を行うもローンだけが残る状態となり返済を継続していたが収入の減少によりそれもままならなくなったため、破産手続申立てに至ったという事案について、管財人に選任されました。
主な管財業務の内容
住宅は既に任意売却されており、それ以外に本人に目立った財産は存在しなかったため、自由財産拡張判断と免責調査が主たる管財業務となりました。
破産者は年金暮らしであり、財産も99万円の枠を超えていなかったため、拡張申立てのあった財産については自由財産拡張相当の判断としました。
50代にして住宅ローンを組んだことが免責不許可事由に該当するか検討しましたが、その当時、破産者が近い将来リストラされるということを予期できたわけではないため、浪費的と断ずることまではできず免責不許可事由は不存在であると考えました。
本事例の結末
債権者への配当原資は存在しなかったため、初回の債権者集会で破産手続は廃止となりました。
免責手続においては上記のとおり免責不許可事由は存在しないとの意見を述べました。
本事例に学ぶこと
自身の予想できない事由により破産手続を申し立てざるを得ない場合があります。
そのようなケースでは破産手続に至る過程で複雑なお金の出入りがある場合が多いため、破産手続に至るまでのお金の流れ(どこから入ったお金をどう使ったか)を明確にすることで余計な疑義が生じなくなります。