過払金請求のメリットやデメリットとは?弁護士がわかりやすく解説

過払金請求には、払い過ぎたお金を取り戻せるというメリットもありますが、リスクやデメリットも存在することは事実です。このコラムでは、過払金請求のメリットやデメリットをご説明し、注意するべきポイントなどを見ていきます。

1 過払金とは

1 過払金とは

過払金とは、債権者に対して支払い過ぎたお金のことです。
平成18年1月最高裁が、「利息制限法の上限を超える利息は返還請求が可能である」という内容の判決を出したことで、過払金の請求が活発化しました。
この判決が出る以前に消費者金融などからお金を借り入れたことがある方については、過払金が発生している可能性があります。

2 過払金請求のデメリット

2 過払金請求のデメリット

訴訟等を起こすることで払い過ぎた過払金を取り戻すという方法があります。
ただ、これにはデメリットがあることも事実ですので、以下では、そのデメリットについて見ていきましょう。

(1) ブラックリストに載る可能性がある

借金の状況によっては、過払い金返還請求をすると信用情報機関に事故情報が登録される場合があります(いわゆる「ブラックリストに載る」状態です)。

過払い金は、まだ返済中の借金についても請求することができます。

クレジットカードのショッピング利用分に残債がある場合は、戻ってきた過払い金で残債を相殺することができます。

しかし残債がある状態で過払い金返還請求を行うと、形式上任意整理を行ったという扱いになり、事故情報が登録されてしまう場合があります。
すでに完済している場合は、事故情報が登録されることはありません。

このように、過払金請求をすると、信用事故を起こしたとして、信用情報機関のブラックリストに登録されてしまうというリスクはあります。

(2) 新たな借入ができなくなる

信用情報機関に事故情報が登録されてしまう(ブラックリストに載る)と、一定期間ローンの新規契約ができなくなります。

例えば、住宅ローン、自動車ローン、教育ローン、カードローン等を組めなくなる可能性があります。
ローンの新規契約時には信用情報の照会があるため、事故情報が登録されている(ブラックリストに載っている)期間は、原則として金融機関や貸金業者のローンが組めないのです。

債務整理後に家や車を購入をしたい場合は、以下のような方法が考えられます。
家族名義でローンを組む、自動車などは一括支払いでの購入を検討するというような方法が考えられます。

3 過払金請求のメリットや注意点

(1)過払金請求のメリット

(1)過払金請求のメリット

過払金請求を行うメリットは、何と言ってもお金が戻って来ることです。自由に使えるお金が増えたり、借金を相殺して少しでも負担を減らしたりすることができます。
得られるお金がある以上、それを取り戻すということは、大きなメリットであると言えるでしょう。

(2)注意するべき点

2)注意するべき点

ただ、過払金請求を行う際には、注意するべき点もいくつかありますので、以下では、それらについて見ていきましょう。

ア 過払金請求権は時効にかかります。

過払い金の時効の計算方法で重要なポイントは、計算の起算日となるのは「借り入れた日」ではなく「最後の取引日」となる点です。

たとえば、借入の契約日が今から10年経過していたとしても、完済したのがそれから3年後だったときにはまだ時効前だということになります。

2020年4月の民法の改正により、消滅時効においては「請求できる権利の存在を知ったときから5年」の条文があらたに追記されました。
この条文の追加により、もし起算日の3年後に権利の存在を知ったとしたら、そこから5年後が時効になるということになります。

もっとも、過払い金が請求できる時効の最長期間は起算日から10年後いうのは変わりません。
ですので、時効の起算日から8年後に請求できる権利を知ったとしても、時効の期限はそこから2年後となります。ただし、この条項は2020年4月以降に完済したローンに適用されるものです。

2020年3月31日以前に完済している分の過払い金請求の時効は最後の取引から10年の条件だけとなります。

イ 計算方法が複雑です

過払金請求を行う場合、貸金業者が保有している取引履歴をもとに正しい上限金利にあわせて引き直し計算をします。

複数の消費者金融やカード会社からキャッシングをしている場合や、借入と完済を繰り返している場合、計算が複雑になり、過払い金額を間違えて取り戻せる過払い金が少なくなったり、請求を断られたりする可能性があります。

また、延滞や遅延があると、貸金業者から「遅延損害金の利率で計算すべき」と主張されることがあります。

4 過払金請求は弁護士に依頼しましょう

4 過払金請求は弁護士に依頼しましょう

このように、過払金請求は、一般の方が行うには複雑であり、ご自身で行った場合には、満足にお金を回収できない可能性があります。
そのため、少しでも過払金があるというお心当たりがある方は、弁護士にご相談されることをおすすめします。

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■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 権田 健一郎
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