借金を返済することができないと悩んでいる場合、身動きがとれなくなってしまう場合があります。解決のためにどのような方法があるかご紹介いたします。

借金を返済することができない! どうなる?どうする?

1 借金に関する悩み

ご自身やご家族など身近な方との将来設計のため,お金を借り入れることは時に必要なことで,誰にでもあることだと思います。

借入時には計画的に返済して何事もなく終わる予定だったとしても,人生には予想外の出来事がつきものです。

家計の節約したり,新たに借り入れをして返済に充てたり,迷惑をかけたくない家族や友人に相談したり…解決のためにさまざまな努力をされてきた方がいらっしゃると思います。

誠実な方であればあるほど,一人で悩みを抱えていることも多いと思います。

しかし,返済の負担が大きなものになっていけばなるほど,経済的なゆとりはもちろん,精神的なゆとりも無くなっていってしまいます。

たとえば…
 1 返済が遅れて遅延損害金が大きくなり返済が難しくなってしまった
 2 返済をするための別に借り入れてしまった
 3 ブラックリストに載ってしまったようで,新たな借り入れができなくなってしまった(信用情報機関に事故情報が登録された)
 4 借り入れできるところがなくなって条件の悪い借り入れをしてしまった
 5 どこにいくらの借金があるのかわからなくなり返済計画を考えるゆとりがなくなってきた
 6 滞納が続いて一括返済を求められてしまった
 7 返済を促す電話などに対応することが辛い
 8 債権者に連絡をしなければと思うが心が動かない
 9 返済したくてもできないことで苛立ちや無力感を感じる
 10 頭の中にはいつも返済のことがあり仕事や私生活にまで安心を感じられなくなった

悩みはつきないと思います。このような場合、どうすればよいのでしょうか。

2 借金を整理する、債務整理

借金を返済することができない、上記のようなお悩みを感じた場合、まずは「債務整理」ができないかを検討をしてみましょう。

「債務整理」には主に三つの方法があります。

 1 任意整理
 2 個人再生
 3 自己破産

債務整理をすると、信用情報機関に事故情報が登録される、すなわちいわゆる「ブラックリスト」に登録されてしまいます。(期間は、任意整理であれば5年、個人再生や自己破産では7〜10年程度などと言われています。)

そのため、今までクレジットカードで決済をしていたような場合、クレジットカードを利用することができなくなるなど、不便を感じるかもしれません。

また、とりわけ「自己破産」となると、犯罪者になったのではないか、約束を果たせないなんて最低な人間だと感じるかもしれません。

しかし、返済できないことをわかりながら、借入れを繰り返したりすることの方が、裏切ることにもなりかねません。

むしろ債務整理の手続きをとることで、収入に見合った生活を債権できれば、返済できない状態で借入をし続ける必要性も低くなります。

借金を放置せず、返せない借金とわかりながら借り続けない、その選択をすることも必要になるものと考えられます。

では、3つの手続きは、どう異なるのでしょうか。

1 任意整理

任意整理は、裁判所を通さず,個々の借入先と交渉をするものです。
将来利息のカットなど返済の負担減のための返済計画を合意することを目指します。

個々の借入先と交渉となるため,たとえば,生活に必須の家や車を手元に残さなければならない場合には,住宅や車のローンはそのまま返済を続けることとし、その他の借金についての返済の負担を減らすことを目指すこともできます。

また,任意の交渉ですので,個人再生や破産のように官報に住所や氏名が掲載されることがないというメリットもあります。

他方で,あくまで任意の交渉であるため、返済額を大幅に減らすことは難しいでしょう。
また,借入先が交渉に応じない場合も少なくありません。

しかし,弁護士と共に返済計画を立てて真摯に提案することで,借入先も返済への期待を持って交渉に応じてくれることもあります。

一般的には,約3~5年間で残りの借金を返済できるような計画を提案し合意します。
したがって,収入があまりなく,返済があまりに長期に及ぶ場合は交渉自体が非常に難しくなることがあります。

そのような場合には,別の方法(自己破産)を検討する必要があります。

2 個人再生

個人再生は、民事再生法に基づいて裁判所に申立てて行う手続です。

法律に基づき総返済額を定め、原則3年で返済する計画を立てるものです。

個人再生は数年間で返済を終えるための計画を立てるものなので、安定した収入があることが前提となります。

返済をする金額は、借入れの総額、小規模個人再生という手続きを利用するか、給与所得者再生という手続きを利用するかによって異なります。

小規模個人再生の場合を例にすると、借入れの総額が600万円の場合、借入れ総額の5分の1(2割)を返済しなければなりませんので、120万円を返済するという形になります。
ただし、この場合、120万円を超える財産を持っている場合(なんらか高価な財産があったり、諸々の預貯金、保険の解約返戻金の見込み額なども含め、財産が120万円を超える場合)には、財産として持っている金額を返済する必要が出てきます。

そのため、大きな財産をお持ちで、それを売却すれば借金を返済できてしまうというような場合、その財産を確保しながら手続きをとるということは難しく、その財産と同程度の金額は返済をしなければならないことになります。

ただし、個人再生の場合には、住宅ローン特則という制度を利用することができる場合には、住宅ローンは支払い続け、自宅を残して個人再生をするということは可能となります。

3 自己破産

自己破産は、簡単にいいますと、すべての借金をゼロにする手続きです。

借金をゼロにする、「免責許可決定」をもらうことを目指します。

自己破産は借金の返済を全部免れることになります。そのため、生活再建をするための最終的な手段です。

もっとも、すべての借金をゼロにするにもかかわらず、債務者が返済ができる財産があるのにそれを持たせ続けることは許されません。

そのため、生活に必要最小限度の財産等は手元に残せますが、自宅や車、大きな預貯金などは原則として全て手放して債権者へ返す(配当)をする必要があります。

債務者が再度やり直しできるのか、借入れの経緯に違法な点はないか、債権者に漏れはないかなどを判断するため、破産管財人という裁判所の選任した弁護士がつく場合もあります。

また、一度自己破産をすると、再度の自己破産は難しく、裁判所での手続開始時と免責許可決定時の2回、官報に名前と住所が掲載されることになります。

そのほか、自己破産の手続き中は職務に従事できないという職種(警備員など)もあります。

当事務所では,返済が困難になった方からの相談を受けて,借入れに関する客観的な情報を一緒に整理し,相談者の経済状態に合わせて具体的な返済計画を検討します。

そのため、任意整理を行いたいとのお話があっても、経済状況等からみて破産をお薦めする場合もあります。

いずれの方法にもメリットとデメリットがあります。
債務整理の方法に迷った場合にも、まずは相談をしてみるのが良いと思われます。

3 放置しておくとどうなる?

借金が返済できないにもかかわらず、放置をしておくと、債権者はいろいろの手段を尽くしてその債権を回収してくるでしょう。

まずは、交渉、任意に支払うようになんどか督促状を送ってくるでしょう。

それでも、放置しつづけると、裁判所の手続き(支払督促や訴訟など)がとられることもあります。

そして、その裁判手続きも放置しますと、裁判所から「判決」がなされます。

この判決を取得した債権者は、強制執行といって、給与の差押えや、預貯金の差押などをしてくることもあります。

放置する前に、危ないと思ったときに見直して、債務整理手続きを行うことを考えてみてください。

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■この記事を監修した弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
代表・弁護士 森田 茂夫
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