紛争の内容
依頼者の方は、20歳頃から、消費者金融で借り入れをするようになりました。 
数社から借り入れをしており、20年以上放置していました。 

その後、借入先のうちの1社から訴訟を起こされましたが、消滅時効を援用し、返済を免れることができました。 
もっとも、依頼者の方は、自身がブラックリストに載っているため借り入れはできないと考えており、しばらくの間は借金をすることはありませんでした。 

しかしながら、数年前に、友人からの勧めで、消費者金融と銀行のカードローンに借り入れの申し込みをしたところ、審査に通りました。 
自身が借り入れ可能とわかったため、別の業者にも借り入れの申し込みをしたところ、やはり審査を通過しました。 

そこで借り入れた金銭は、飲食代やギャンブル(主にパチンコ)に使われました。 
そのうち、返済が難しくなり、返済のために別の業者から借り入れをするという、自転車操業のような状態になりました。 

最終的に、5社に300万の債務を負うことになりました。 

そのうちの1社から支払督促を申し立てられたことをきっかけに、債務をきちんと整理しようということで、当事務所にご依頼されました。 

交渉・調停・訴訟等の経過
本件では、収入の状況や負債額から、自己破産の手続きを選択しました。 
もっとも、負債が増えていった時期にギャンブルをしていたことから、免責不許可事由が存在しうる事例でした。 

しかしながら、依頼者の方はこのようなお金の使い方を反省していたことや、収入を鑑みると管財費用を用意することが難しい状況であったことから、同時廃止手続きを目指しました。 

申立ての際には、ギャンブルへの支出はあるものの1日あたりの掛け金は少なく、のめり込んでいたわけではないことや、本人は反省し、このようなお金の使い方は今後しないと誓約していること、当事務所への依頼後から作成してきた家計簿にも無駄遣いといえるような支出はないこと、したがって、同じ過ちを繰り返して負債を作る可能性は乏しいことなどを説明した上申書を作成し、裁判所に提出しました。 

本事例の結末
結果、本件は同時廃止事件として手続きが進められ、免責も許可されました。 

本事例に学ぶこと
依頼者の方は、免責不許可に該当しうる事情がありましたが、手続きに関する上申書を提出し、結果、無事に同時廃止事件となりました。 

もちろん、全てのケースで同じように同時廃止手続きになるわけではありませんが、免責不許可自由の程度によっては、本事例のように家計簿をきちんと付け、生活状況の改善が見られれば、同時廃止手続きとなる可能性もあることを示す事例だと思います。 

弁護士 赤木 誠治