紛争の内容
ご相談者は、派遣の仕事をしながら、430万円の負債をかかえており、生活も立ち行かなくなっておりました。人間関係が上手くいかずに会社を辞め、派遣の仕事をしていましたが、上下変動があり、安定しない日々を送っていました。その間も、取り立ての電話が鳴りやまず、精神的に滅入ってしまいました。
そのような中、借金の整理を考えていたところ、グリーンリーフ法律事務所をインターネット上で知り、相談予約をして実際に相談した結果、破産手続により、債務の免責を受けられる可能性があると伺い、そのまま破産手続の申立てを依頼することになりました。

交渉・調停・訴訟等の経過
弁護士がご依頼者の代理人として、すべての債権者に対して、弁護士が介入したので取り立てを停止するように求めた受任通知書を送付し、直ちに、債権者からの電話は鳴らなくなりました。
そのうえで、弁護士は債権を調査しつつ、ご依頼者に家計簿の指導をし、必要書類の取得を進め、弁護士費用の分割払いをしつつ、何度か打合せをした上で、破産手続の申立てを行いました。

破産手続では、借入の原因が「浪費」や「射幸行為」(ギャンブル)にある場合には、免責不許可事由に該当するため、破産管財人による調査が行われることがあります。破産管財人が選任されると、弁護士費用とは別に、20万円を納めなければなりません。また、預貯金等が20万円を超えると、預貯金という債権を自由財産(手元に残せる財産)として拡張してもらうためにも、管財人が選任されることがあります。
ご依頼者は、競馬等をやったこともあり、また、預貯金が20万円を超えていたこともあって、破産管財人が選任されるリスクがありました。

そこで、代理人弁護士は、少しでもご依頼者に経済的負担がかからないよう、破産管財人の選任を避けるため、「同時破産廃止の上申書」を提出しました。同時破産廃止というのは、①破産手続を開始して、②破産管財人が調査したうえで、③破産手続を廃止する、という流れを辿らず、①破産手続を開始して、同時に、②破産手続を廃止する、という簡易な手続です。

その理由としては、借入の原因のうち、浪費や射幸行為に当たる部分が少なく、破産の直接の原因ではないから免責不許可事由に当たる可能性は低いこと、預貯金についても給与がたまたま溜まっているだけで50万円未満であり、管財事件となっても、自由財産拡張が認められる総額99万円の枠内に収まることなどです。つまり、管財人を選任するまでもありませんよ、という内容を説明として付け加えました。

本事例の結末
結論としては、裁判所も破産管財人選任の必要はないと判断し、同時廃止手続となり、免責についても無事に受けることができ、時間の短縮にもつながりました。

本事例に学ぶこと
明らかに浪費や射幸行為により負債を増やしてしまった人、例えば、競馬競輪オートレースなどに多額の費用を費やし、破産する主な原因がこれらに当たるという人は、免責調査のため、破産管財人を免れないことが多いです。また、財産を換価する必要のある人(例えば不動産がある人)なども同様です。

破産管財人を選任する必要があるのか微妙なケースでは、本件のように「同時破産廃止の上申書」を提出することにより、破産管財人の選任を免れることが出来る場合もあります。そうすれば、破産手続の時間(管財人との面談、裁判所での集会等)もなく、追加の予納金(さいたまでは20万円以上)を支払う必要もないので、依頼者にとってメリットが大きいです。

しかし、それが可能なのは、上記のとおり明らかに管財人が選任されるケースでないことや、ご依頼者が真摯に書類集めや弁護士の指示に従って協力があってのものです。それが難しければ、やはり破産管財人が選任されてしまいますし、万一、虚偽の事実を報告したりすれば、免責を不許可にされてしまうなど、ご自分に不利益が帰ってきてしまいます。

債務整理でお困りの方、スムーズに手続を進めたい方は、グリーンリーフ法律事務所までお気軽にお問合せください。

弁護士 時田剛志