事案の経過
破産者は、高配当をうたう投資会社の勧誘に従い、借り入れをし、その借入額の大半を投資会社に預けました。当初は投資会社の配当がありましたが、その後、配当が無くなり、会社従業員らとも連絡が取れなくなり、弁護士に相談に行き、破産手続開始決定を得た事案です。
管財人に選任されたのち、投資会社の投資先とされるインド洋の会社との英語での合意書を翻訳し、領事館の出先機関に連絡するなどして、回収可能性を検討しました。
しかしその後、当該投資会社の投資先は架空であるらしいことが分かり、結局、回収は困難として破産手続は終結しました。
本事例の結末
上記の通り、配当できる財団へ形成できませんでしたので、破産手続は終了となりました。
また、借り入れ全額を投資に回した破産者は、免責不許可事由に該当すると考えられましたが、勤務がまじめであることや現在は安定した生活をしていることから、裁量免責が相当という意見を出し、裁判所でも免責が許可されました。
本事例に学ぶこと
デカップリングが進む可能性が指摘されていますが、IT化の進展に伴い、進捗状況は遅くなったとしてもグローバル化は今後も進んでいくものと考えられます。
管財人として、海外案件への対応能力を増やしていく必要性を痛感した事案でした。
弁護士 野田 泰彦