借金の返済をしてもなかなか元金が減らないため、すべての借金を返すことが難しいとお悩みになることがあると思います。そのような方のために、国が借金を減らす制度を設けていますので、ご説明いたします。

借金を減らす制度は存在するのか

返済をしても利息が高いために借金がなかなか減らず、借金を返済することができないが、借りたお金は返さないといけないとお悩みになることがあると思います。このような方のために、国は、破産法と民事再生法という法律によって、借金を減額できる制度(破産手続・個人再生手続)を設けています。

また、任意整理という手続も存在しますが、最近は、借金の苦しみを大きく解消できるほどの借金の減額は認められづらくなっています。

破産手続とは

破産手続とは、債務者(借手)が多額の借金や住宅ローンなどにより経済的に破綻し、所有する資産を処分しても、債権者(貸手)に対してすべてを返済することが出来ない場合に、財産(最低限の生活用品は除く)を処分し、債権者に対して公平に弁済し、不足部分は免除してもらう手続き(免責)をいいます。

簡単にいえば、自己の資力では支払えなくなった債務を免除してもらうことを裁判所に申し立てるというものです。

埼玉県にお住いの場合、さいたま地方裁判所、さいたま地方裁判所越谷支部、さいたま地方裁判所川越支部、さいたま地方裁判所熊谷支部などになります。

破産手続には、破産管財人が選任される管財事件と、破産の開始と同時に手続を終結し、免責の審査に入る同時廃止事件とがあります。

処分する財産がないことが明らかで、免責を不許可とする事情もないような場合は、同時廃止事件となりますが、同時廃止事件になる割合の方が高いです。

破産手続のメリット・デメリット

メリット

・借金が免除される。
・弁護士に依頼後は、債権者からの取り立てが止まる。
・破産開始決定後の収入は自由に使うことができる。
・破産手続きに関して債権者の同意を得る必要がない。
・比較的短時間で手続きが終了し、時間・労力が少ない。

破産したからといって全財産を失うわけではなく、経済的に立ち直るために99万円までの現金(さいたま地方裁判所など裁判所の判断が必要です)や家財道具は処分されることなく自分の手元に残すこともできます。

このような財産は自由財産といわれます。

デメリット

・これまで保証人に請求されてなかった場合でも、通常、債権者が保証人に対して請求するようになります。
・官報に記載されます。
・資格制限があります。

※資格制限があるのは、 証券会社の外務員、旅行業者、宅地建物取引業者、生命保険の募集人、警備員などですが、一般的にはほとんど問題にならないといってよいでしょう。
よく誤解されるような「選挙権がなくなる」「戸籍謄本に破産者の印がつく」「会社を辞めなければいけない」などの不利益は、法律上ありません。

個人再生とは

個人再生とは、裁判所に申立てをして借金を減らし、返済計画を立てて、原則として3年間(最長5年間)で分割返済するという手続です。
返済をきちんとすることができた場合には、残りの借金の支払いは免除されます。

個人再生手続には、①小規模個人再生手続と②給与所得者再生手続の2つがありますが、一般的には①小規模個人再生手続の方が、借金を大幅に減らすことができるので、こちらの手続を使います。

ただし、②給与所得者再生手続は、小規模個人再生手続と異なり、債権者の過半数の同意が不要であるため、その同意が得られないときには利用することもあります。

個人再生のメリットとデメリット

メリット

ご自分の財産(家、預貯金、有価証券、保険など)を処分する必要はありません。

借金の減額の程度は、借金の総額によっても違いますが、多くの場合、
■利息制限法に従って再計算した元金の20%を、
■将来金利なしで、
■3年間で分割払いをしていく、
ことになります。

また、住宅ローンをかかえており、住宅を維持したいという場合にも、住宅ローン条項を使うことにより、住宅を手放すことなく、この手続を利用することが可能です。ただし、住宅ローンについては、原則として、当初の約定にしたがって支払いを続ける必要があります。

デメリット

小規模個人再生手続の場合、債権者の過半数(債権者の数の過半数、かつ、債権者の合計債権額の過半数)の同意のもと、裁判所の認可を得て決められることになるため、場合によっては、その同意、認可が得られないということがあり得ます。

給与所得者再生手続の場合は、債権者の同意は不要ですが、借金の減額幅が少なくなります。

任意整理とは

任意整理とは、示談交渉による負債整理が可能な場合、弁護士がサラ金業者などの債権者と交渉することによって、債務を減額させたり、分割払いでの返済をすることで、債務者の負担を軽減し返済をしていく方法を言います。

また、過払い(違法な金利に基づいて返済をしていた結果、消費者金融などに、払い過すぎていた分を返還させる権利がある場合)があれば、その返還の交渉なども行います。

任意整理のメリット・デメリット

メリット

・貸付時の金利が違法であった場合や、サラ金業者などの債権者が減額に応じた場合、皆様が債権者に返済する金額が少なくなります。
・一括での返済を求められていた場合でも、多くの場合、分割での返済が可能となります。
・裁判所を利用せず、相対の交渉で示談を進めるので、裁判所に出向く必要がありません。

デメリット

・任意整理の交渉がうまくいかなかった場合、遅延損害金がついてしまい、返済しなければならない金額が結果的に増えてしまうことがあります。

※ 現在の任意整理では、このデメリットが大きな問題となっています。一部のサラ金業者が極めて強硬な姿勢をとっており、債務の減額を全く認めず、分割払いの交渉にも応じず、一括払いに応じなければ裁判をする、の一点張りで押し通してくるケースがあります。

 このようなサラ金業者の姿勢それ自体には問題があると考えますが、あくまで任意整理は「任意」ですので、サラ金業者等には交渉に応じる義務がないのです。

まとめ

以上、国が認めている借金の救済制度をご案内しました。借金でお悩みの方は、ぜひ一度弁護士にご相談頂けますと幸いです。

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■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 村本 拓哉
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