紛争の内容

ご依頼者様は、クレジットカード・消費者金融からの借入など、合計1000万円程度の負債があり、返済が滞って支払督促が届くようになってしまったため、弊所へご相談にいらっしゃいました。
負債額が大きくなってしまっていたため、ご依頼者様のご収入では返済が難しく、破産手続をとる方針となりました。

交渉・調停・訴訟などの経過

負債の主な原因は、スマホアプリへの課金と情報商材の購入でした。これらは「浪費」という免責不許可事由に当たるものです。
また、ご両親と住んでいるご自宅の一部分について、持分がありました。この持分について、どれくらいの価値があるのか、どのように処分するべきかという問題がありました。
以上のことから、免責調査型・資産調査型の管財事件となりました。
破産申立後、ご依頼者様は、なぜ自分がアプリへの課金や情報商材の購入を際限なく行ってしまったのかについて自筆の反省文を書き、自身を見つめ直し、反省を深めていきました。
家計については、正確に家計簿をつけて倹約に努め、その結果、ある程度貯金のできる優良な家計に生まれ変わりました。
ご自宅の持分については、買い手が現れるような物件ではなく、親族による買取りも難しい状況でした。
また、その価値(評価額)が問題となりましたが、古い木造家屋であったことから、代理人弁護士から固定資産税評価額ではなく市価で評価額を算定すべきとする上申書を提出しました。この意見が採用され、比較的低廉に抑えられた持分相当の評価額を破産財団に組入れすることによって、ご自宅の持分については破産財団から放棄されました。

本事例の結末

ご依頼者様は、無事に免責許可決定を得ることができました。

本事例に学ぶこと

本件では「浪費」という免責不許可事由がありましたが、ご依頼者様が倹約に努め、家計を優良化させたことが、管財人や裁判官の心証を良くしたのだと思われます。
また、家計の優良化によりある程度の貯金ができたからこそ、ご自宅の持分についても、相当額の財団組入れという解決策をとることができました。
浪費をしてしまった過去は変えられませんが、そこからどれだけ立ち直れるかということが、とても大切なのだと実感いたしました。

弁護士 田中智美
弁護士 木村綾菜