紛争の内容

個人(公務員)の方の破産管財人として携わりました。
この方は、海外出張なども忙しく、その間に負債が膨らんでいったため、最初は小規模個人再生手続を申し立てたものの、過半数債権者が再生計画に対して異議を述べたため、小規模個人再生は適わず、結果として、破産手続申立がなされた事案でした。
破産事件としては、大きな問題(例えば、免責不許可事由があるなど)はなく、20万円を超える預貯金を中心とする自由財産拡張の判断が求められました。

交渉・調停・訴訟などの経過

まずは、申立人代理人との間で日程調整を行い、破産者個人と管財人面接を実施しました。
管財人面接では、あらためて、借り入れの経緯や負債が膨らんでいった事情、家族関係、財産関係、家計状況などを細かく伺って参りました。
もちろん、破産申立の際に事情を記載した書類は提出されますが、かかる書類に漏れている事項や疑問があれば管財人から色々な角度から質問をして、間違いがないかを確認いたします。
その結果、破産そのものには問題がなく、免責不許可事由もありませんでしたので、自由財産拡張の判断を行いました。

本事例の結末

結果、自由財産拡張が裁判所に認められ、50万円前後の預貯金を手元に残したまま、破産手続が廃止し、免責許可決定が出ました。破産管財人として携わった期間は、約3ヵ月程度でした。

本事例に学ぶこと

自由財産拡張、つまり破産はするけれども手元に一定の財産を残す手続は、どこの裁判所に申し立てるかによって結論が変わる場合があります。例えば、さいたま地方裁判所の運用では、現状、99万円の枠内であれば、20万円を超える預貯金(※注意が必要なのは、破産手続開始決定時点の預貯金が対象になることと、現金は法定自由財産といいますが、預貯金は銀行に対する「債権」であり現金ではありませんので、拡張が必要となる点です)についても柔軟に拡張を認めております。一方で、東京地方裁判所などは、原則として拡張を認めないなどの厳しい運用をとられていると聞きます。破産手続についてお悩みの方は、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所までお気軽にお尋ねください。

弁護士 時田 剛志