紛争の内容

ご依頼者様は、数年前からパチンコやガールズバーにはまってしまい、借入やクレジットカードの利用を重ねていました。更に、ある時期からは月々の返済のための借入もするようになり、借金の総額は500万円程度になっていました。
 2年程前、いわゆる「おまとめローン」というものがあると知ったご依頼者様は、月々の返済の負担を小さくするため、500万円を借り入れ、各消費者金融・クレジットカード会社に対しては全額を返済しました。
 しかし、ご依頼者様は、パチンコ等を辞めることができず、完済したことによって借入限度額に余裕ができた各消費者金融・クレジットカードについて再び借入や利用を重ねるようになり、結局、借金の総額は1000万円程度になってしまいました。
 月々の支払いに窮したご依頼者様は、弊所に相談にいらっしゃいました。

交渉・調停・訴訟などの経過

 緊急事態宣言等の影響で職を失ってしまったこともあり、後に再就職はできましたが、家計はほとんど余剰が無い状況でした。
 借金の総額も1000万円と高額であったことから、個人再生ではなく、破産の方針を立てざるを得ませんでした。
 しかし、本件の借金の原因は、パチンコやガールズバーでの遊興費が主であったことから、免責不許可事由の「浪費」に当たることは明白でした。また、「おまとめローン」を利用した後、返済の目途が立たないにも関わらず、さらに500万円もの借入・クレジットカードの利用を重ねたことも、「浪費」に当たる不利な事情でした。
 本件は免責調査型の管財事件となり、管財人からも上記の点について細かく追及がありました。
ご依頼者様は、弁護士とともに、どのような思考過程で誤った判断をしてしまったのかを見つめ直し、真摯に反省している旨、管財人に説明いたしました。
また、そもそもお酒を飲むことが好きだったご依頼者様でしたが、禁酒は難しくとも節制するということで、家計の引き締めを行い、経済的再出発が可能である旨も説明をいたしました。

本事例の結末

 本件については、無事に免責許可を得ることができました。

本事例に学ぶこと

 本件は、「おまとめローン」を利用した後に一切借入れをしなければ、破産をする必要は無かったかもしれない事案でした。
 しかしながら、「おまとめローン」を利用して月々の返済の負担が軽くなり、各消費者金融・クレジットカードの利用枠があいたことで、「もっと借金ができる」と油断してしまい、破産という結果に至ったのだと、ご依頼者様も反省していらっしゃいました。
 必要以上の借金はしない、返せる見込みのある金額以上の金額を借りないことはもちろん重要ですが、大きな借入をしてしまったあとに、借金を返すための借入をすることや他の借入を重ねるということは、かえって問題を大きくすることに繋がります。
 借金の返済が難しいと感じた際には、借金の総額が大きくならないうちに、一度弁護士までご相談されることをおすすめいたします。

弁護士 木村 綾菜