紛争の内容

生活費が足りず借入れを始めたAさんは、生活費の工面を子どもに頼んでいましたが、子どもは病気がちで仕事が続かず入れてくれる生活費も足りず、なんとか工面できないかと、親子で働いたお金を投資にまわしてしまいました。一度投資で利益を出し、返済をしたことができたことから再度利益を出したいと思いつぎ込んでしまいました。しかし、借入金がかさみ返済ができなくなってしまいましたが、なんとか一気に返したいという思いから持っていた不動産を売りそのお金を投資に回してしまいました。
結局、投資で一括返済できるだけのお金を得ることはできず、むしろ全てお金を失ってしまい困ったAさんは相談に来ました。

交渉・調停・訴訟などの経過

生活の状況からは、借金の返済をできることは到底できず、残したい財産もなかったため破産の手続きを行うこととしました。
破産の手続きを行うにあたっては、生活費の工面であるとしても多額の投資をしたことによる借金であることから、当初より破産管財人がつくケースであること、生活を改めていただくようにお願いをしました。
ご本人もやり直したいという気持ちから、細かな家計簿をきちんと丁寧に毎月記載をしていただき、また投資に関する資料をすべて出していただき、その経緯なども思い出していただき、申立の準備をしていきました。

本事例の結末

ご本人が生活態度を改め、すべての取引履歴を出していただき、家計簿も毎月赤字を出さずに収入の範囲内で生活をしてくださったこと、もう二度と投資をするなどしないことを約束し、免責許可を得ることができました。

本事例に学ぶこと

投資にかなりの金額をつぎ込んでおり、不動産の売却代金も投資につぎこんでしまいましたので、破産をすることが難しいケースでした。しかし、しっかりと本人が生活を立て直すという意欲をもっていたことや、不動産の利益や損失についても、投資の口座を残しておいていただいたおかげできちんと履歴を示してお話しをすることができました。何よりも、本人が大変に申し訳ないという気持ちをもち、破産の準備や破産手続きを終了した後に同じことにならないように生活をしていただける意欲をもっていただいたため、免責許可を得ることができたと思います。
投資により借金をしてしまったとしても、免責される場合があります。生活の立て直す意欲をもって手続きに挑んだ結果があったものと思います。

記事監修 代表・弁護士 森田 茂夫