破産手続に至る経緯

依頼者の方は、個人で洋品店を営んでいました。その洋品店は、ある会社A社の商品だけを取り扱っていました。長く赤字であったものの、A社との取引しかしていなかったため、A社も支払いについて非常に寛容でした。
しかし、依頼者のA社に対する未払の買掛金(負債)が5000万円近くになってしまったことから、A社も回収に動かざるを得なくなりました。
当然、長く赤字でしたから、依頼者の方はA社に支払うことはできません。
そこで、当事務所にご相談にいらっしゃった結果、事業を終了し、破産手続申立をすることに決まりました。

破産手続などの経過

破産手続はスピードとの勝負ですので、受任通知を債権者に発送するとともに、まずは、商品の保全と店舗と倉庫の明渡交渉を最優先で行いました。
商品の保全は、管財人に引継、管財人が換価できるようにするためにとても重要です。
また、明け渡しも、負債を拡大させないようにし、また、敷金を取り戻し財団にするためにとても重要です。
ところが、ここで一つ問題が生じました。商品の保全をするためには保管場所が必要なのですが、倉庫として借りている物件の早期明け渡しと抵触してしまうという点です。しかも、倉庫と店舗とでは大家さんが違うのですが、それらは近所のため、店舗の明け渡しが進んでいることを倉庫の大家さんは知っていたため、保管を続けることに難色を示したのです。
しかし、新たに倉庫を借りることは現実的ではないため、倉庫の大家さんに説明し、なんとかご納得をいただきました。
その後は、早期に破産手続を申立て、管財人に商品を引き継ぎました。
商品はそれほど高価で換価はできなかったため、1回の期日で破産手続は終結しました。
依頼者の免責も認められ、依頼者は、経済的再生に向けて再出発することができました。

本事例の結末

商品はそれほど高価で換価はできなかったため、1回の期日で破産手続は終結しました。
依頼者の免責も認められ、依頼者は、経済的再生に向けて再出発することができました。

本事例に学ぶこと

先述したとおり、商品の保管と明け渡しなど、破産手続では、一見すると矛盾するようなことをスピーディに対応し、即座の判断が求められる場面が多々ありえます。
本件では、当事務所が豊富な経験を有していたため、倉庫の大家さんを説得することができました。
当事務所では、そうした経験に基づき、適切に破産申し立てを行っております。
安心してご相談ください。

弁護士 野田泰彦